普段見ることができない ハイブリッドバッテリーユニット の中身は?

ハイブリッドバッテリーやボルテージセンサーなどを収納している ハイブリッドバッテリーユニット (ケース)の中は、通常見ることが出来ない箇所ですが、写真で分かる範囲で『ホコリ』や『劣化』などをご紹介します。

まず、ユニットを分解して目視するだけでは、各バッテリーブロックの劣化状態(性能低下)などは一切わかりませんが、ハイブリッドエラー(警告灯)が点灯する要因の一つである冷却効率の低下については、ホコリの溜まり具合である程度は確認できます。

HVバッテリー

以下をご紹介する前に一つ確実なことを申しますと、通常は経年や走行距離、使用状況などの様々な理由で劣化が進行した結果、ハイブリッドシステムチェック(警告灯)が点灯しますが、点灯した際に強制的にハイブリッドエラーをリセットしても、残念ながら性能が回復することはありませんので、何らかの方法でリセット後、すぐにエラーが点灯しない場合も確実にエラーが再点灯しますので、安心しないでください。

それでは実際の作業において、写真を交えながらユニット内の状態を紹介していきます。

※写真や説明は分かりやすくするため、異なる車種や複数台の写真を使用しています。

バッテリーユニット を車から降ろすための分解

まず初めに、バッテリーユニットを車から降ろすために分解すると、バッテリーブロックを冷却するための吸気口にフィルターがあり、この部分におけるホコリの蓄積状態で、ユニット内のクーリング状態が予測できます。※下の写真はエスティマハイブリッド(AHR20W)ですが、フィルターの目がもっと細かい車種もあります。

吸入口のフィルター
センターコンソールを外したホコリの状態
更に分解すると内部にもホコリがいっぱい

こちらはボクシーハイブリッド(ZWR80G)のフィルターですが目が細かく、光が見えている部分だけしか冷却するための風を吸入出来ていない状態です。

吸入口のフィルター目詰まり
光を当ててもフィルター目詰まりが半端ない

見て分かるように、吸気口におけるホコリの堆積状態で、ユニット内におけるホコリの堆積などが想像できます。

【ポイント!】
ハイブリッドシステムチェック(警告灯)の予防対策として、「室内の掃除をこまめにする」「毛が抜けやすいマットを敷かない」「ペットを乗せたら掃除する」などで、ホコリの蓄積が多少は軽減できます。
また、分解せず簡単に吸気口のフィルタを掃除できる車種もありますので、ぜひ一度ご確認ください。

バッテリーブロック編

ユニットの中にバッテリーブロックが隙間なく配列されているように見えますが、走行など使用時に発生する熱を冷却ファンでクーリングするため、仕切り板などで隙間が確保されているのですが、これだけホコリが多いとその隙間を塞いでしまい、結果的に冷却機能が低下することからバッテリーブロックの温度が上昇し、ハイブリッドシステムチェック(警告灯)が点灯する可能性がアップしてしまいます。

エスティマHVの上段バッテリーユニット 内に蓄積した大量のホコリ
エスティマHVの下段バッテリーユニット 内に蓄積した大量のホコリ

面倒ですが、こまめな掃除でハイブリッドシステムチェック(警告灯)が点灯する可能性を軽減させましょう!

冷却ファン編

分解を進めると冷却ファンの状態も確認でき、写真のようにホコリが蓄積すると当たり前のことですが、送風量が低下します。

送風量が低下すると、当然ながらバッテリーブロックの温度が下がりにくい状況となり、また冷却ファンの稼働時間が長くなりますので、ファンモーターの負担も上昇し、故障の原因にもなります。

バッテリーブロックに蓄積されたホコリ同様に、冷却ファンに蓄積されたホコリもバッテリーユニットを分解しなければ掃除が出来ませんので、室内の掃除をこまめにするなど、出来る範囲で対策しましょう。

なお、ハイブリッドバッテリーを交換の際は、点検・清掃を実施しています。

冷却ファンに蓄積されたホコリ

バッテリーブロックを連結するリンクプレートの酸化など

更に分解すると、写真にあるバッテリーブロックを連結するリンクプレート(銅板)を確認できます。

電極部のカバーを外すと白っぽい粉が大量に発生している状態
著しく酸化したバッテリーを繋ぐリンクプレート

ご覧のように、電極部のカバーを外すとナットに白っぽい粉が大量に発生しており、バッテリーブロック同士を連結するリンクプレート(銅板)も著しく酸化しています。

この状態は、電気を通しにくいことから連結したバッテリーブロック同士の通電を妨げ、バッテリーブロックの劣化(性能低下)が進行する原因の一つであることから、当店ではバッテリーブロックを組み立てる際は特殊なビーズで洗浄したものに交換し、電気の流れを正常な状態に戻しています。

なお、ボルテージセンサーは目視で異常の有無は判断できませんので、説明を省略します。

著しく性能が低下したバッテリーブロック

分解した各バッテリーブロックをそれぞれ計測機器に接続し、適格な基準により良否の判断を行っていますが、著しく性能が低下したバッテリーブロックは負荷がかかり続けると、写真のように驚くほど膨張します。

※写真は計測のため、バッテリーブロックに負荷をかけた際に膨張したものであり、通常使用で膨張するという意味ではありません

劣化したバッテリーの膨張
バッテリーが膨張した部分を拡大

初めてハイブリッドシステムチェック(警告灯)が点灯した場合、このように著しく性能が低下したバッテリーブロックは多数ありませんが何度も強制リセットを行うと、劣化したバッテリーを補助するために正常なバッテリーブロックへの負荷が大きくなることから結果的に著しく性能が低下したバッテリーブロックが増加し、最悪の場合は走行できなくなる可能性がありますのでご注意ください。

最後に

今回ご紹介した写真や説明において、ホコリを対策することでハイブリッドシステムチェック(警告灯)点灯を軽減できる可能性があることが伝わったと思いますので、可能な範囲で掃除をおすすめします。

しかし、経年や走行距離、使用状況や冷却効率の低下など様々な理由によりハイブリッドシステムチェック(警告灯)が点灯してしまった場合、バッテリーブロックの性能が低下している状態なので、強制的にリセットを行ってもバッテリーブロックの性能が回復することがないことから、対策としてはバッテリーユニットを交換するしかありません。

でも、交換費用が高額であるため、タイヤ交換のような感覚で判断しかねると思いますので、高額なハイブリッドバッテリー交換費用を軽減したい場合、リビルトバッテリーユニットへの交換をおすすめします。

当店のリビルトバッテリーユニットへの交換費用は、選択するプランなどにより異なりますが、ディーラーと比較して1/3から2/3程度です。